犬の伝染病予防注射

伝染病に感染すると有効な治療法はなく、最善の治療にもかかわらず子犬の多くは幼くして命を失う結果となります。
予防ワクチンの効果は母犬の初乳を通じて譲り受けた受動免疫に大きく影響を受けます。
ワクチンの効果を最大限に発揮するためには正しいワクチネーションプログラムに基づいて予防注射を実施することが大切です。
予防ワクチンの効果を確実にするために通常子犬は6-8週令で最初のワクチン接種をします。その後3-4週間間隔で16週令まで追加接種をします。その後は生後6ヶ月齢または1歳齢に1回追加接種します。それ以降は1年に1回の追加接種が基本となります。
狂犬病予防注射

狂犬病は発病すると治療方法がなく、神経症状を示してほぼ100%死亡するウイルス性の人獣共通感染症です。日本では昭和32年を最後に発生していませんが外国から狂犬病の動物が入ってくる危険性は常にあります。 狂犬病の予防注射は、各市町で毎年春に地域毎に会場を設けて集合注射を行っています。動物病院ではいつでも受けることができます。生後91日以上の犬は犬の登録と毎年1回の予防接種が法律で義務づけられています。
予防注射の種類
♡当院では5種ワクチンと7種ワクチンを接種しています。

予防注射接種時期

予防注射の種類
♡当院では5種ワクチンと7種ワクチンを接種しています。

予防注射の注射時期


予防注射で予防できる伝染病
犬ジステンパー


ジステンパーウイルスの感染によって起こる伝染病です。
初期症状は発熱、下痢、嘔吐、セキ、目ヤニ、鼻水などの症状が発現しますが、末期になると激しいテンカン発作などの神経症状が1日に何回もおこるようになります。
予防ワクチンを接種していないワンちゃんは、いつでもどこでも感染する可能性があります。とくに子犬、老犬、病後や手術後の免疫が低下している犬ではいっそう死亡率が高くなります。
予 防

5種ワクチン、7種混合ワクチンで予防できます。
パルボウイルス感染症


パルボビールス感染症、は消化器をおかす犬の伝染病です。
感染犬は嘔吐、下痢、発熱、白血球減少などの症状を示します。特に子イヌでは症状は重篤となり死亡率が高くなります。
ウイルスで汚染された感染犬の排泄物や汚染物質との接触により感染がおこります。
感染初期には元気消失、食欲不振、発熱などの症状がみられます。その後1~2日以内に激しい嘔吐や血便などの胃腸症状が発現します。6-8週令の子犬は死亡率が高くなります。
子イヌでは血便症状が発現する前に死亡することもあります。
予 防

5種ワクチン、7種混合ワクチンで予防できます。
犬伝染性肝炎


この病気は犬アデノウイルス1型の感染でおこります。感染犬との直接接触あるいは間接接触により感染します。
このウイルスの感染により肝臓が障害されます。栄養状態の悪い犬や免疫の低下した犬では症状が重くなります。元気消失、食欲減少、扁桃腺炎、嘔吐、下痢、リンパ節の腫大、肝臓の腫大、腹痛などが主な症状です
。重症例では、発熱、ショック、神経症状などを発現して死亡することがあります。軽症例では5-7日で回復します。感染犬のうち約20%に一時的に目が白く濁る「肝炎性ブルーアイ」などの眼症状が発現します。
予 防

5種ワクチン、7種混合ワクチンで予防できます。
ケンネルカフ


ごくまれにまれに重度の肺炎症状を発現して死亡することもあります。
予 防

この伝染病は5種ワクチン、7種ワクチン接種で予防できます。
犬レプトスピラ症


野生動物、特にネズミはこの病気に感染しても症状を発現することはありませんが保菌動物として犬にこの病気を感染させます。
犬は筋肉や腎臓の痛みのために動くことを嫌がります。目の充血や口粘膜の点状出血などの症状もみられます。
公衆衛生上の問題

予 防

7種ワクチン接種で予防できます。